眉毛犬を探して…
学生時代のことです。ぼくは京都の周辺地で発掘のバイトをしていました。平安京に供給されていた須恵器の窯跡が出土するので、それを掘り起こしていたのです。遺跡の発掘といっても古墳などのように繊細ではないので、作業員を手配する業者さんが、人足のおじさんを数名送り込んできて、穴を掘ってもらったりしていて、それを学生であるぼくたちがサポートするといった按配でした。
人足のおじさんたちは、とても動物好きで、上手に雀を捕まえて手乗りに仕立ててみたりしていましたが、ある日、のら犬をどこかから見つけてきてシロと名づけてかわいがっていました。もちろんバイトのぼくたちもおじさんたちとは仲良くしていたので、シロも仲間としてかわいがりました。
ある雨の日でした。しょぼくれた顔をしてシロがベロを出して座っていました。ぼくは、ちょっとイタズラ心がわいてきて、脇にあったマジックペンをおもむろに手に取り、シロの顔にサッサッサッと眉毛を描いてあげたのです。
さぁ、どうでしょう。さっきまでしょぼくれていたシロは、とたんに笑い顔に変身したのです。ベロを出して、ぼくたちをニコニコしながら見つけているではありませんか。なんと、かわいいことでしょう。それ以来、彼は100m離れても笑っているように見えるイイ犬になりました。みんな、ますますシロが好きになったのです。
それから1ヶ月ほどした、ある日、人足のおじさんたちが淋しそうな顔をしています。シロの姿も見かけません。ぼくはイヤな予感がしましたが、恐る恐るおじさんの一人にたずねました「なにかあったん?」と。すると、近所の農家の人がネズミ退治に毒団子をまいたのでけれど、それをシロが食べたようで、昨日帰るときは元気だったのに今朝来てみたら、もう冷たくなっていたのだそうです。ぼくはおじさんに案内してもらって、シロのそばに行きました。目を閉じて、ぐったりしているシロ。もう息をしていません。でも、彼は、笑っていました。
この秋、こんな切ない眉毛犬たちを集めてコンテストをしようと目論んでいます。「眉毛を描かれた犬」という歌を歌われているゴンチチのチチ松村さんとこの曲の作詞家である横山犬男さんが協力してくださっています。写真、イラスト、立体、文章なんでもいいです。眉毛犬に関するネタがあったら教えてください。9月に開催予定ですので、それまでにあればいいです。みなさんのちょっと切なくていたいけな眉毛犬ネタ、お待ちしております。
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